廃線跡の旅、鉄路の旅

大隈線廃線跡の歴史に触れる鹿屋市鉄道記念館

大隈線廃線跡から望む桜島

大隅線は志布志駅から日豊本線の国分駅の約100kmを結んでいた路線です。
車窓には錦江湾が広がり、雄大な桜島を眺めながらの旅は観光客を楽しませてくれました。
1987年(昭和62年)3月14日に廃止となった廃線跡は、道路などに転用されていますが、橋梁やトンネルなどがそのまま残っている箇所も多く、廃線跡を楽しむには絶好の場所となっています。

「道の駅たるみず」から望む桜島です。大隈線からはこの姿を車窓から眺めることができました。現役当時は、鉄道絶景ランキングの上位に入る路線に入っていたことでしょう。

海岸沿いを通る国道220号線に並行し、廃線跡が山裾に続いています。

垂水鉄道記念公園

垂水市の中心となっていた垂水駅。跡地は垂水鉄道記念公園となっています。プラットホームやレール、踏切が残されています。

垂水鉄道記念公園

垂水から鹿児島市(鴨池)へは現在フェリーが1日25便も運航され、所要時間も約45分。
錦江湾のまわりを大回りする大隈線は倍の時間を要していましたので、
廃線は垂水周辺に住む人たちにとってはそれほどダメージを受けなかったのかもしれません。

垂水鉄道記念公園

鹿屋市鉄道記念館

鹿屋駅は大隈線の主要駅の鹿屋駅は鹿屋市の中心駅でした。

鹿屋市は人口10万人を擁し、鹿児島県内では鹿児島市・霧島市に次いで3番目の人口数です。
立派な中核都市にかかわらず鉄道が通っていないことは非常に残念です。
鹿屋駅跡は鹿屋市役所となり、近くには鹿屋市鉄道記念館が建てられています。

鹿屋市鉄道記念館
鹿屋市鉄道記念館
鹿屋市鉄道記念館
鹿屋市鉄道記念館

キハ20の保存されている線路の向きは新しく付け替えられていて、実際は直角方向に通る道路が廃線跡だそうです。道路の先に見える鹿屋市役所が鹿屋駅跡。

鹿屋駅跡

鹿屋市は鉄道がなくなったため、車移動が中心の街となりましたが、
県庁所在地の鹿児島市までは一般道では2時間以上、高速道路経由でも1時間余り要します。
それでも街の雰囲気に衰退感は感じられません。
鹿屋市の人口数は廃線当時と変わらず推移しています。

鉄道がなくても独自に繁栄し続ける特異な街ではないでしょうか。
そう思うと赤字路線だった大隈線の廃線は正解だったのかもしれません。
ただ絶景広がる車窓をのんびり走るローカル線から楽しめなくなったことだけは、いち観光者としては残念で仕方ありません。

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