滋賀県の近江鉄道・信楽高原鐵道が発売しているフリー切符に「びわこ京阪奈線フリーキップ」があります。
近江鉄道・信楽高原鐵道の両線全線乗り放題!おとな1,050円(こども530円)というかなりお得な切符です。(土・日・祝発売)
この切符の名前ですが少しおかしいことに気づきました。
フリー区間は全て滋賀県内なのに「びわこ京阪奈線フリーキップ」。
京都。大阪・奈良は一体どこに…?
実はこのネーミングには深い意味があったのです!
バブル景気に沸いていた1989年(平成元年)。
「信楽駅」-「京田辺駅」間に新線を敷設し、近江鉄道本線(「米原駅」 – 「貴生川駅」間)と信楽高原鐵道信楽線(「貴生川駅」 -「 信楽駅」間)を結ぶ構想が計画されました。
それが「びわこ京阪奈線」です。
JR学研都市線(片町線)「京田辺駅」と接続し滋賀県湖東地域と京都府南部地域~大阪を一直線で結ぶ夢のようなルート。
しかしその後に起きたバブル崩壊で「びわこ京阪奈線」は…………
計画は残され色々な調査が行われていますが、いまだ実現には至っていません。
「びわこ京阪奈線の早期実現へ…」その想いが「びわこ京阪奈線フリーキップ」のネーミングに込められていたのです。
ホームページによりますと
現在の「京田辺駅」-「米原駅」間の所要時間、2時間38分(電車1時間38分・自動車1時間)が「びわこ京阪奈線」の開通で1時間16分に短縮できるようです。
「京田辺駅」から大阪の中心に近い「北新地駅」へは約50分。
「米原駅」-「北新地駅」が2時間余りで結ばれることになります。
現在、東海道本線を走る新快速が「米原駅」-「大阪駅」を1時間23分で結んでいます。
比べると東海道本線に分がありますが、東海道本線のサブルートとしては申し分ないと思います。
「びわこ京阪奈線」の経由予定地・宇治田原市には現在鉄道が通っていないため「びわこ京阪奈線」が開通されれば大阪への通勤圏内としても注目されることでしょう。
新線の予定駅としては朝宮茶で有名な「朝宮駅」、新線の中心地「宇治田原駅」、JR奈良線との接続駅「山城多賀駅」が妥当ではないでしょうか。
「びわこ京阪奈線」実現には大きな課題がいくつもあります。現在の近江鉄道・信楽高原鉄道は単線、さらに信楽高原鉄道は非電化。新線設立に加え既存路線の大改良も必要となるようです。
そうこうしている間に「びわこ京阪奈線」ルート周辺に高速道路が次々に開通されました。
2008年(平成20年)、信楽に新名神高速道路が開通。2023年度(令和5年度)には宇治田原にも開通予定です。
新名神高速道路開通で「びわこ京阪奈線」の建設意義が薄まりそう………?
でもお得な「びわこ京阪奈線フリーキップ」はずっと残して欲しいですね。