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大阪市営トロリーバス3号線(守口車庫前 – 杭全町)
大阪東部を南北に縦断する道路「今里筋」。大阪市電の全盛期時代、この道路には市電ではなくトロリーバスが走っていました。トロリーバスとは、見た目はバスのようですが、上空の架線より集電し、ガソリンの代わりに電気で動く乗り物です。レールが必要ないため、市電よりも低コストで建設できることから、市電の空白地域を補完するために建設されました。
モータリゼーションが進展すると、トロリーバスは大阪市電とともに次々と廃止…。
トロリーバスが最後まで走り続けた路線が「今里筋」を走る3号線(守口車庫前 – 杭全町)でした。
1970年(昭和42年)にトロリーバスが廃止。大阪市内の交通は、大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)や大阪市営バス(現・大阪シティバス)が主流となります。トロリーバスの廃止された「今里筋」には地下鉄は通らず、市バスがその役目を担っていました。
大阪メトロ今里筋線
しかし「今里筋」は渋滞が頻繁に発生していたため、その対策として2006年(平成18年)「今里筋」に地下鉄が開業されることになりました。「今里駅」と「井高野駅」を結ぶ「今里筋線」です。
この路線の特徴は、大阪の中心より放射状に延びる鉄道と連絡するように設定。大阪メトロの中では、大阪環状線の内側を通らず、大阪の大動脈の御堂筋線にも接続しない、唯一のルートとなっています。
大阪の中心をかすりもしない「今里筋線」。必要あるのでしょうか?
「緑橋」で市電に乗り換えて大阪の中心地へと向かう乗客が多かったトロリーバス。そのトロリーバスをトレースするように誕生した「今里筋線」も同じように「緑橋駅」で中央線への乗り換えに利用されています。「今里駅」では千日前線へ、「蒲生四丁目駅」では長堀鶴見緑地線 に、「太子橋今市駅」では谷町線へ…。乗り換えることで大阪のキタやミナミにも行くことができます。沿線住民にとって大変便利な路線となっています。
今里筋線延伸の代わり?いまざとライナー
今後「今里筋線」は「今里駅」よりさらに南へ下り「湯里六丁目駅」へ向かう延伸計画があります。しかし、建設費の問題から延伸計画は凍結されたままです。
その代替として2019年(令和2年)に誕生したのがBRT(バス・ラピッド・トランジット)の「いまざとライナー」です。BRTといえば、バスを高速で走らせるための「バス専用車線」や「バス車両優先システム」といった特徴があげられますが、はっきりとした定義はありません。「いまざとライナー」にはバス専用車線も設けられておらず、その特徴をあげるとするならば「バス停が少ない」ということになるようです。
料金は、全区間均一で大人210円、小児110円。鉄道系ICカードで乗り継ぐと、地下鉄が大人160円/小児80円割引、大阪シティバス(90分以内に乗り継ぎバスを降車)が大人210円/小児110円割引となります。
これは大阪メトロを意識したお得な料金体制となっています。
現在、「いまざとライナー」は社会実験中です。「いまざとライナー」の乗客が増えるようでしたら「今里筋線延伸」、利用が少ない場合は「いまざとライナー」の廃止。そこそこの利用があれば「いまざとライナー」の継続となることでしょう。
今里筋線は万博公園へ!?
また今里筋線は北方面への延伸構想も度々浮上しています。
「井高野駅」より安威川を超えて阪急「正雀駅」、そしてJR「岸辺駅」へ。さらにはその北の万博公園へ!?
万博公園から「湯里六丁目駅」、そして長居公園が結ばれると夢のような超巨大路線が誕生します。
しかし、建設費や採算性を考えるとやはり夢で終わるかも…。
となると、延伸しなければやはり「今里筋線」はいらない路線?
「今里筋線」の乗客は他路線に比べて多くはありませんが、「今里筋」の渋滞を回避し、鉄道空白地帯を解消した功績は大きいと思います。「今里筋線」と「いまざとライナー」のタッグはもはや延伸に匹敵する〝なくてはならない〟コンビといえるかも!?