廃線跡の旅、鉄路の旅

名鉄三河線海線・廃線跡路線図と撤去が進む各駅跡の現状

名鉄三河線は「知立駅」を境に北側の「山線」と南側の「海線」に分かれています。両線を合わせた長さは39.8km。名鉄では本線に次ぐ長さです。2004年(平成16年)に両端の一部が廃線となる前は約65kmもの長さがありました。
廃止となった区間は山線「西中金駅」 – 「猿投駅」間(8.6 km)と海線「碧南駅」 – 「吉良吉田駅」間(16.4 km)です。

名鉄三河線の山線廃線跡と未成線跡の旅(猿投駅-西中金駅-足助駅)


廃線の理由は、乗客の減少。やはりモータリゼーションの進展には敵いませんでした。
廃止となった海線「碧南駅」 – 「吉良吉田駅」間は三河湾に沿って敷設されていました。

国土地理院地図より編集

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碧南駅

名鉄三河線の終着駅「碧南駅」。この先には廃線跡が続いています。「碧南駅」 -「三河旭駅」間の廃線区間は「碧南レールパーク」として整備されているため、廃線跡の寂れた雰囲気はありません。とてもきれいな公園です。

碧南駅
碧南駅-大浜口駅間

大浜口駅(現・大浜口広場)

「大浜口駅」は掘川のすぐそばにあり、鉄道と衣浦港の船運を結ぶ重要な役割を担っていました。現在の整備された「碧南レールパーク」には、町の成り立ちや廃止となった鉄道の歴史がパネルでわかりやすく説明されています。車輪やレールのモニュメントもあり、「碧南レールパーク」のシンボル的公園です。

大浜口駅(現・大浜口広場)

大浜口駅(現・大浜口広場)
大浜口駅(現・大浜口広場)

玉津浦駅(現・玉津浦広場)

「玉津浦駅」の西側一帯は、現在埋立地となっていますが、かつては大浜熊野大神社のすぐそばには海があり、玉津浦海水浴場が開設されていました。「玉津浦駅」は海水浴場への最寄駅としてシーズン中は、大変賑わっていたそうです。現在は埋め立てられ、工業地帯となったため当時の面影はありません。「玉津浦駅」から西側には貨物用の専用線が蜆(しじみ)川方面に敷設され、鉄道と船運の中継する役割も果たしていました。

玉津浦駅(現・玉津浦広場)

棚尾駅(現・棚尾広場)

時計塔や遊具のある楽しい公園となっています。

棚尾駅(現・棚尾広場)

三河旭駅(現・三河旭広場)

三河旭駅には当時のホームが残っています。

三河旭駅(現・三河旭広場)

「碧南レールパーク」の地図を見てください。廃線跡がクネクネとS字を描いて蛇行しています。一体なぜでしょう。

棚尾町や旭村から駅設置の強い要望があったため、このような線形になったそうです。かなり遠回りですね。「三河旭駅」で上り電車に乗り過ごしても「碧南駅」や「新須磨駅(現・碧南中央駅)」まで自転車で行けば、乗り過ごした電車に間に合ったとか…?

中畑駅

駅跡は残っていませんでした。「三河旭駅」から「中畑駅」の間には大きな矢作川が流れています。廃線前はここに矢作川橋梁が架けられていました。海線の廃線理由は、矢作川橋梁の架け替えにかかる莫大な費用も要因となっていました。

三河平坂駅

駅跡は残っていませんでした。かつて「三河平坂駅」から南西に約400m離れた位置に、平坂支線の「平坂口駅」が設置されてたため、乗り換えとしても利用されていました。

三河楠駅

駅跡は残っていませんでした。しかし、「三河楠駅」-「寺津駅」間の立派な高架橋は残されたままです。この高架橋は1998年(平成10年)に建設された比較的新しいもの。中部国際空港へのアクセス道路が建設された際、三河線と交差するため建設されました。しかし、その16年後に廃線となったことで、無用の長物となってしまいました。

寺津駅

ストリートビューではまだホームが残っていましたが、もう駅跡は残っていませんでした。撤去工事が始まるとあっという間になくなってしまいますね。

寺津駅

西一色駅

愛知県立一色高等学校の最寄駅でした。ここには貴重な石積みのホームがまだ残っていました。

西一色駅
西一色駅

このホームもいずれ撤去されてしまうのでしょうか…。

三河一色駅

一色漁港の港町、一色町の玄関口として利用されていた「三河一色駅」。駅跡には住宅が建ち、駅跡は見当たりませんが駅周辺には駅前の面影が残っています。

三河一色駅前

電灯の「駅前中央通」の文字は、「三河一色駅」があった名残です。

三河一色駅前

松木島駅

鰻の産地で有名な松木島です。ここも駅跡は残っていませんでしたがストリートビューではまだホームが残っています。

松木島駅

吉良吉田駅

「吉良吉田駅」です。ここで名鉄西尾線・蒲郡線と接続していました。

吉良吉田駅
吉良吉田駅

名鉄三河線海線は比較的、新しい廃線跡ですが、宅地化や更地化のスピードは思いのほか早かったようです。もっと早く来ておけばよかったと後悔…。

(写真は2022年7月現在のものです)

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