廃線跡の旅、鉄路の旅

羽田空港アクセス線着工で大汐線が復活!対する東京モノレールは廃止か?存続か?

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羽田空港アクセス線東山手ルート着工

2023年6月、ついに本格的工事が着手される羽田空港アクセス線。羽田空港アクセス線とは、JR東日本が計画している鉄道路線で、「東京駅」や「新宿駅」などの都心部と羽田空港を結ぶものです、今回着手される「東山手ルート」は、現在休止されている「大汐線」の橋りょうや高架橋を活用しつつ、新たに約5kmのトンネルを掘って羽田空港に乗り入れる予定です。

▲浜路橋から「大汐線」を望む

▲港南大橋から「大汐線」を望む

▲湾岸道路から「大汐線」を望む

休止中の大汐線が復活へ!

「大汐線」とは、「浜松町駅」から「東京貨物ターミナル駅」までの約3kmの区間。1914年(大正3年)に「東京駅」が開業した際に、旧「新橋駅」から「品川駅」までの旅客線が貨物専用線となったものです。その後、貨物輸送量の増加や関東大震災の復興などに伴って、品川駅から先も貨物支線や複々線が整備されました。しかし、貨物輸送量の減少やトラック輸送の台頭などにより、次第に利用が低下。この区間は、山手線や東海道新幹線と並行するために複雑な構造となっており、回送運転も困難でした。そのため、1998年(平成10年)に休止となります。「大汐線」は休止されて以来、放置されたままの状態でしたが、羽田空港アクセス線建設により「大汐線」が復活することになります。

東京貨物ターミナル駅(AC写真より)

羽田空港アクセス線では、「東京貨物ターミナル駅」から「田町駅」付近まで「大汐線」を複線化して改修し、そこからシールドトンネルで東海道本線と合流する予定です。これにより、「浜松町駅」から「羽田空港新駅(仮)」まで直通することが可能になります。また、上野東京ラインを介して宇都宮線や高崎線などへも直通することが想定されています。

国土地理院地図より編集
国土地理院地図より編集

羽田空港アクセス線の開業によって、「東京駅」から「羽田空港新駅(仮)」は、約18分で到着することが可能となる予定です。片道1時間あたり4本、1日あたり72本の運行が計画されています。

西山手ルート・臨海部ルートとは

羽田空港アクセス線は、「東山手ルート」の他に「西山手ルート」、「臨海部ルート」が計画されています。

国土地理院地図より編集

「西山手ルート」は、りんかい線の「大井町駅」から東品川短絡線を建設して「東京貨物ターミナル駅」まで走り、そこから同じく新規に建設されるトンネルで「羽田空港新駅(仮)」に至るものです。このルートでは、大崎駅から山手貨物線に乗り入れて埼京線や中央本線などに直通する予定です。所要時間は、「羽田空港新駅(仮)」と「新宿駅」の間で約23分となります。

「臨海部ルート」は、りんかい線の東京テレポート駅から回送線を複線化して「東京貨物ターミナル駅」まで走り、そこから同じく新規に建設されるトンネルで「羽田空港新駅(仮)」に至るものです。このルートでは、りんかい線と接続している京葉線に直通する予定です。所要時間は、「羽田空港新駅(仮)」と「新木場駅」の間で約20分となります。

このように、羽田空港アクセス線は、それぞれ異なる方面へ直通することで、多様なニーズに応えることができます。

東京モノレールの存続は?

さて、気になるのは現在、運行されている羽田空港への鉄道アクセス路線の2路線、東京モノレールと京急空港線の今後です。京急は「京急蒲田駅」でJR・東急と接続する蒲蒲線の建設で、渋谷・新宿・池袋の都市や和光・所沢・川越などの東京圏北西部からの空港利用者を取り込む計画があります。

京急(AC写真より)

一方、羽田空港アクセス線と並行する東京モノレールの存続が気になります。現在、東京モノレールは「浜松町駅」から「羽田空港第1ターミナル駅」まで約22分で結んでいます。スピードでは、羽田空港アクセス線に敵いません。

東京モノレール(AC写真より)

しかし、東京モノレール沿線の各駅には多くの企業や工場、競馬場があるため、多くの需要を抱えていますので、今後も都心と湾岸地域を結ぶ重要な交通インフラとして活躍する可能性が高いと言えます。

東京都心への玄関口である羽田空港は、国際線の発着枠が拡大されたことで、利用者数が急増しています。羽田空港アクセス線の建設は、さらなる需要増に対応し、既存路線の混雑緩和や負荷軽減にも貢献します。

羽田空港アクセス線・京急線・東京モノレールの3路線が協力し合うことで、日本の観光業や経済に大きな恩恵をもたらすことでしょう。

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