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阪急の立体交差工事「淡路要塞」
現在進行中の阪急「淡路駅」周辺の立体交差工事。そのスケールの大きさな姿から「淡路要塞」と呼ばれています。2028年度には、高架線に切り替えられ、2031年度に全ての事業が完了する予定です。
この工事は「淡路駅」だけでなく、「崇禅寺駅」「柴島駅」「下新庄駅」も高架化となる大規模なものです。高架化区間は約7.1km、東海道新幹線を越えるためその高さは30mにも及びます。
高架化工事の目的は、京都本線と千里線の上下線が平面交差していることによる信号待ちや運行障害の解消、17ヵ所の踏切を除却することで周辺地域の交通渋滞を低減、そして市街地の一体開発などです。高架化後は、淡路駅のホームは2層構造になり、上層階ホームが大阪方面(下り線)、下層階ホームが京都方面(上り線)に分かれるため、乗り換えも便利になます。
阪急京都本線・千里線は運行本数が多く、また工事地域周辺は建物密集地のため、高架化工事は高度な技術を取り入れた様々な施工方法で実施されています。しかし 用地取得に難航したため、当初の完成見込みより20年近くも遅れ、工事費は当初の1,632億円から694億円増額された2,326億円となっています。
実はこの「淡路駅」から約1.5km離れた「新大阪駅」まで阪急の新線が計画されていました。その計画線は「新大阪駅」からさらに「十三駅」「神崎川駅」を結ぶというものでした。阪急新大阪連絡線と呼ばれ、梅田近辺の混雑緩和と京都本線「崇禅寺駅」付近のバイパス、そして阪急沿線から東海道新幹線「新大阪駅」へのアクセス機能を兼ねた路線です。
淡路駅から延伸するはずだった幻のルート
実現のためには「十三駅」と「淡路駅」の高架化が必要でした。
1994年、「淡路駅」の高架化計画が動き始めた当時、まだ阪急は「淡路駅」-「新大阪駅」間の免許を保持していました。しかし高架化の計画図には新大阪線の分岐はありませんでした。
2002年12月6日に「淡路駅」-「新大阪駅」間、「新大阪駅」-「神崎川駅」間の業許可廃止申請を提出し、2003年3月1日に廃止となりました。
A.東海道新幹線の下をくぐる予定だった阪急新大阪連絡線跡
B.阪急新大阪連絡線は通る予定だったスペース
「新大阪駅」より西側、「新大阪駅」-「十三駅」間はまだ免許は継続されていますので、今後、建設される可能性はあります。
そうすればなにわ筋連絡線の建設とともに、「新大阪駅」-(新大阪連絡線)「十三駅」-(なにわ筋連絡線)-「大阪駅(うめきた地下駅)」-(なにわ筋線)-関西空港という阪急の関空ルートが完成されます。
果たして何年先になるでしょう…。