国産材ブランドの吉野杉
奈良県中南部の川上村、東吉野村、黒滝村を産地とする吉野杉。
完満直通、無節、色目の良さなどにより、国産材のブランドとして高く評価されてきました。
近代交通が発達するまで、搬出された吉野杉は、まず吉野川に流されると、河口の和歌山まで運ばれ,舟運により大阪や京都、江戸などに送られていました。
吉野で切り出された杉ですが、集散地として発展したのは和歌山市でした。
鉄道開通により吉野杉は全国へ
1939年(昭和14年)に鉄道引込線を備えた県営吉野貯木場が開設。
産出された吉野杉は吉野貯木場専用線を通り、「吉野神宮駅」より全国へ鉄道輸送されるようになりました。
下記の空中写真、青線が貯木場のための水路、赤色の線が吉野貯木場専用線です。
貯木場ができたことにより、吉野杉の集散地は和歌山から吉野へ移ることとなり、地元の吉野の林業は大きく発展しました。
吉野神宮駅の引込線跡
やがて、貨物輸送の主役が鉄道からトラックへ変わると
1973年(昭和48年)1月 に吉野貯木場専用線は廃止となってしまいました。
今でも吉野貯木場専用線廃線跡沿いには木材関連の建物が並んでいます。
吉野貯木場専用線廃線跡と近鉄吉野線が立体交差。
貯木場のためも改修された水路には古代ローマの建築のような水門と材木橋があります。
「吉野神宮駅」は学校や公共施設が集まっており、吉野神宮の最寄駅でもあるため、特急を含む全列車の停車駅となっています。「吉野神宮駅」から吉野神宮までは約1.3kmの坂道です。吉野の観光に訪れた際には「吉野神宮駅」で途中下車、「吉野神宮駅」周辺の散策もオススメです。