阪急京都線「西京極駅」-「西院駅」間の上り線横に1線分のスペースが空いています
鉄道雑誌レイル(No.117/2021年)林宏祐さん執筆「阪急京都本線小史 貨物専用線・西院貨物駅の沿革」によりますと、新京阪鉄道時代に計画された貨物専用線の未成線だそうです。
大阪方面より京都方面へと走ってきた列車が「西京極駅」手前で分岐し貨物専用線へ入線。
京都線に並行しながら「西院貨物駅」へと向かう路線だったようです。
しかし、1934年(昭和9年)に計画は中止となってしまいました。
その痕跡は今でも見ることができます。
天神川通りと阪急京都線の交差する橋梁。写真の奥が阪急京都線、手前の橋梁が未成線跡です。鉄道が通っているように見えますが、上から見て見ると…
未成線跡は「西京極駅」の臨時改札口より続く歩道となっています。歩道を跨ぐ架線柱がいかにも未成線跡らしいですね。臨時改札口は西京極総合運動公園で野球やサッカーなどのイベント開催日に利用でき、この歩道を通って西京極総合運動公園へ行くことができます。未成線跡が見事に活かされていますね。
天神川通りを跨ぐ歩道の下には、京都線建設当時は御室川が流れていました。
1935年(昭和10年)6月の京都水害後、天神川とともに付け替えが行われ、
御室川の跡は天神川通りとなっています。
西京極総合運動公園へ向かうには「西京極駅」臨時改札口を出てまっすぐ進み、突き当たりを右へと曲がります。
曲がる手前で前方を見てください。歩道の延長線が橋梁となり、阪急京都線へ向かっています。この下を流れているのが天神川です。
御室川が付け替えにより、天神川へと吸収されこちらに流路が変得られました。
「西京極駅」より「西院駅」へと向かって見ましょう。
「西京極駅」-「西院駅」間には川の付け替えによる廃川跡が多く、京都線の橋梁も多く見られます。そして貨物専用線のための橋台が橋の架けられることのないまま残されています。
西院変電所付近が貨物専用線の「西院貨物駅」予定地のようです。
貨物専用線計画中止の背景には、やはりモータリゼーションの進展が大きく影響しているようです。当時の街並みからは大きく変化していますが、京都の街中でありながら未成線がここまではっきりと残されているとは驚きでした。