人気番組のブラタモリ。2022年4月23日「鉄道スペシャル 〜開業150年!鉄道は日本をどう変えた!?〜」の放送回でタモリさんが訪れたのは「旧新橋停車場」でした。
駅舎の裏側には、開業当時と同じ位置に復元された線路と「0哩(マイル)標」。そこでタモリさんが注目されたのが双頭レールでした。双頭レールとは、レール断面の上部と下部が同じ形状のレールです。列車の車輪によって、レール上部が摩耗すると、上下をひっくり返して寿命を延ばす大変エコなレールです。
鉄道創業時の日本は、レールを輸入に頼っていたため寿命の長い双頭レールが使用されていましたが、国内でのレール生産が可能になると、安定の悪い双頭レールは敬遠されるようになりました。
その後のレールは、平底レールが主流に。下部が広がっているため平底レールは重さにも強く、安定性の高い形状となっています。
役目を終えた双頭レールは、駅のプラットホームの屋根や跨線橋の骨組みなどに再利用され、今も残されている場所があります。
関西で見ることができる有名な保存場所といえばココ、阪急「中津駅」の近くです。JR梅田貨物線と交差するあたりに双頭レールがあります。柵に再利用されていたものでしょうか。地上に少しだけ顔を覗かせています。
真上から覗くと、上下対称の形がよくわかります。
このように双頭レールは思わぬところで見つけることができます。
浅野明彦氏著の「鉄道考古学を歩く(JTBキャンブックス)」で紹介されいたものでは、京都・JR奈良線「桃山駅」付近の双頭レール。現地に訪れると御香橋のたもとにその姿を見ることができました。
現在架けられている御香橋は2代目。この双頭レールは初代の御香橋に使用されていたもののようです。しかし、悲しいことに現在行われているJR奈良線の複線化工事のために消滅してしまいました。貴重な双頭レール。どこかに保存されていればいいのですが…。安否が気になります。
しかし!
再び訪れて見ると、綺麗に並べて保存されているではありませんか!?鳥肌が立つとはこのこと!?
工事前よりも見やすくなっています!JR西日本の方、そして工事関係者の方、ありがとうございます!
先述の「中津駅」近くの双頭レールですが、この付近の大阪駅北地区のうめきたエリアも線路の地下化や新駅工事のため大規模な工事が行われています。鉄道創業時の貴重な鉄道遺産である双頭レールが工事でなくなることがないように願います。