東海道本線「米原駅」-「京都駅」の区間と北陸本線「長浜駅」-「米原駅」の区間を合わせた区間には「琵琶湖線」という愛称がつけられています。「琵琶湖線」は、京都府と滋賀県の県境付近にある山越え以外は比較的、起伏の少ない平坦な地形を通っています。
なぜ3本ある?腰越山トンネル
そんな「琵琶湖線」に気になるトンネルがありました。「安土駅」-「能登川駅」間、安土山と繖山(きぬがさやま)を隙間を通り抜けるように掘られた3本のトンネル。腰越山トンネルです。列車の前面から眺めていると上りと下り線路の間にもう1本トンネルがあるのがわかります。そのトンネルにはレールがありません。すでに使用されていないようです。
上りと下りの間にあるトンネルは何のため?
この場所のトンネルはもともと2本のトンネルでした。電化の際に西側に新しく上り用のトンネルが作られました。下り用のトンネルは電化用に改良工事が行われ、旧上り用トンネルは廃トンネルとなったとのことです。
腰越山トンネル上の彦根道から見下ろすと廃トンネルの坑門を垣間見ることができました。
廃線跡は草が生い茂っています。
「米原駅」- 「京都駅」間が電化されたのは1956年(昭和31年)のこと。真ん中のトンネルが使用されなくなってから半世紀以上も経っています。貴重な鉄道遺産ですね。
仏生山(むしやま)トンネル
今は使用されていませんが、彦根駅と米原駅の間にもトンネルがありました。仏生山(むしやま)トンネルです。「彦根駅」-「米原駅」間の西側は、今は埋め立てられていますが、かつては琵琶湖の内湖が広がっていました。現在の琵琶湖線が通っているところは湖と陸の間。旧線は現在より山側を通りトンネルが掘られていました。こちらも腰越山トンネルと同様に電化の際、埋立地に新線が敷設され、旧線のトンネルは廃トンネルとなりました。
仏生山を探してみることに。線路に沿って米原野球場の方から仏生山トンネルに方面へと向かいます。しかし、この薮の中を抜けるのはかなり困難です。
矢倉川の対岸より仏生山トンネルを見てみます。生い茂る草の向こうにトンネルを見ることができました。
もっと近くで見ることができないでしょうか…。仏生山トンネルの彦根側に回ってみます。彦根側は滋賀県北部流域下水道事務所東北部浄化センター。現在国道8号線のバイパス工事が行われていて立入禁止となっていました。国道8号線バイパスが完成すれば、もしかしたら仏生山トンネルを間近で見ることができるのでしょうか!?
仏生山トンネルに、なかなか近づくことができませんでした。旧線の痕跡を見ることができる場所は他にないのでしょうか。
さらに南側、旧線と新線の分岐あたりを探索します。
ありました!旧線の橋台が残っていました。
橋台の先で旧線と新線が合流します。
仏生山トンネルにはたどり着くことができませんでしたが、旧線の橋台には感動しました。廃線散策は、宝探しゲームのような楽しみがありますが、くれぐれも無理をしないようにしましょう。