Contents
名鉄知多新線の幻の駅「小野浦駅」
名鉄河和線「富貴駅」より西に進み、知多半島を縦断する名鉄知多新線には、ある「幻の駅」が存在します。その名は「小野浦駅」。「野間駅」と終着駅の「内海駅」間に位置するこの駅は、建設が進められ、ホームや駅舎の骨格が完成していたにも関わらず、一度も列車が発着することなく、現在もその姿を留めています。
紆余曲折した名鉄知多新線
知多新線は、知多半島の中央部を貫くように建設された路線で、沿線地域の開発を目的としていました。「小野浦駅」も、この開発の一環として計画された駅の一つです。周辺地域の宅地開発によって利用客が増加すると見込まれていたため、開業が期待されていました。
しかし、沿線に貝塚が発見されたことなどにより、建設に時間がかかり、その間に沿線の大半が市街化調整区域に指定されたことで宅地造成がほとんど不可能となりました。そのため、知多新線は利用客の増加が見込めなくなってしまったのです。その結果、「小野浦駅」の開業は中止となり、完成間近だった駅は、そのまま放置されることになりました。
知多新線は、観光路線へと方向転換、名鉄は南知多ビーチランドや内海フォレストパークなどを建設します。しかし沿線の宅地開発を目的にルートが決められた知多新線は、海岸から離れた位置に建設されたため、それらの観光地へは駅から遠く、観光客にとって便利とは言い難い存在となりました。現在、知多新線は1983年(昭和58年)移転された日本福祉大学・付属高校1への通学利用が中心となっています。
未成駅「小野浦駅」の魅力
どこか寂しげながらも駅は建設当時のままの姿を保つ「小野浦駅」。
駅周辺の雰囲気から察するに「小野浦駅」は、今後もおそらく利用されることのない駅と思われます。それゆえ、この駅は廃駅とは違った独特の魅力を持っています。
小野浦駅へのアクセスと注意点
小野浦駅は、整備された施設ではありません。そのため、訪れる際には注意が必要です。
車・バイクでのアクセスが一般的ですが、駅への道は狭いため運転には注意が必要です。公共交通機関を利用する場合は、野間駅から徒歩で1時間弱、体力に不安がある方はタクシーを利用する必要があります。
「小野浦駅」訪問は外から眺めるだけにとどめておきましょう。駅舎内は老朽化が進んでいるため、立ち入り禁止となっています。