丸の内駅の謎の通路と複雑な構内は、幻の名古屋地下鉄第7号線未成線跡

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幻の名古屋地下鉄第7号線

名古屋地下鉄「丸の内駅」には鶴舞線、桜通線の2路線が通っていますが、実は、幻となった地下鉄第7号線も通る予定でした。

幻となった地下鉄第7号線とは、名古屋市の成長に合わせて計画された交通プロジェクトの一部であり、1972年(昭和47年)の都市交通審議会答申第14号では金山から市役所、平安通、上飯田を結ぶ新路線が提案されました。しかし、1992年(平成4ねん)になり、都市の需要とインフラストラクチャーの見直しが行われ、7号線の名前は消え、新たに「上飯田線」が計画されました。
上飯田線は、平安通から上飯田までのごく短い距離を結ぶ鉄道路線ですが、この路線は、名古屋市内において、名鉄小牧線と名古屋市営地下鉄名城線をつなぐ重要な交通結節点として機能しています。

幻となった7号線の痕跡がこの「丸の内駅」に残っているのです。

「丸の内駅」の構内は複雑で、ユニークなつくりとなっています。

まず、この改札外通路。鉄道路線のようなカーブを描いています。

この通路の下には、鶴舞線と桜通線をつなぐ連絡線が敷かれています。

鶴舞線ホームから赤池方面を見ると真っ直ぐ進む鶴舞線の線路に対し、左にカーブする線路が見えます。これが連絡線です。

桜通線と鶴舞線を連絡線で結ぶことによって、桜通線の車両が鶴舞線を経由して、日進車両基地へ行くことができます。終日働いた桜通線の車両は日進車両基地で収容され、次の日の出勤に備えます。

地下鉄の連絡線は東京や大阪、札幌でも存在しているため、それほど珍しいものではありませんが、「丸の内駅」には、さらに謎めくミステリーゾーンが存在します。

丸の内駅の固く閉ざされた謎の通路

桜通線地下2Fコンコースの横にある謎の通路。柵で仕切られていて、どうしても行くことができません。(A地点)

地下2F・鶴舞線コンコース
地下2F・鶴舞線コンコース

どこにつながっているのでしょう?

この通路の先を目指し、改札内通路から地下1階へ。改札外通路を進むと柵で仕切られた謎の階段があります。

扉は固く閉ざされ、窓越しにしか、その姿を見ることができません。

桜通線地下2Fコンコースから見えた謎の通路はこの階段につながっているようです。

これは、2018年(令和元年)のバリアフリー工事により、不要となった通路です。

バリアフリー工事で、エレベーターが設置されたことにより改札内通路・改札外通路の動線が大きく変わりました。

例えば、下記の写真。エレベーターを設置したことで、手前の改札内通路から通り抜けができなくなってしまいました。

下記は名古屋市交通局ホームページより引用させていただいた「丸の内駅」の構内図です。

名古屋市交通局ホームページより引用

バリーアフリー工事前は、現在使用されていない「謎の通路」を通って桜通線と鶴舞線の乗り換えが行われていました。(下記の太線赤矢印)

名古屋市交通局ホームページより引用・編集

バリーアフリー工事によってエレベーターを設置したことで、新しい通路が作られ動線が変わりました。(下記の太線赤矢印)。同時に使用されない「謎の通路」が誕生しました。

名古屋市交通局ホームページより引用・編集

新しく作られた乗り換え用の通路、最初からこの位置にあれば、移動距離が短くすみました。では、なぜわざわざ遠回りの「謎の通路」があったのでしょう。

この不要となった「謎の通路」こそ、7号線へつながる通路だったのです。

幻の名古屋地下鉄第7号線の痕跡

当初の計画通り、7号線が開通していれば、桜通線地下2Fコンコースで3路線がスムーズに乗り換えできるように設計されていました。

下記写真、桜通線地下2Fコンコースの機械室の先も7号線へとつながる予定でした。これらが7号線未成線の痕跡です。

「丸の内駅」の複雑なつくりは、かつての鉄道計画の痕跡でした。そして計画が途絶えた今も不思議な存在として「丸の内駅」に残り続けています。