日本一短いローカル線「紀州鉄道」
和歌山県紀勢本線・JR御坊駅の0番のりばから御坊の市街地を目指す紀州鉄道。
西御坊駅までのわずか2.7kmを8分で結ぶ路線は、日本一短いローカル線です。
紀州鉄道は100円の収入を得るために367.8円を要するほどの赤字路線、
1979年には不動産・リゾート開発を営む鶴屋産業の傘下に入り、リゾート開発を中心とする不動産業が主な事業となっています。
終着駅は「西御坊駅」
紀州鉄道の終着駅は「西御坊駅」。
古い駅名標がその歴史を物語っています。
車輪止めが終着駅であることを示しています。
しかし、道路を隔てた先にも線路が続いているようです。
紀州鉄道の廃線区間
線路はこの先700mほど、日高川の手前まで伸びています。
そこにあるのは、かつての終着駅「日高川駅」の廃駅。
1989年3月まで営業されていました。
ここは、和歌山県では3番目の長さを誇る日高川の河口。
かつては、日高川上流で栽培された豊富なスギやヒノキが日高川を下り、御坊まで運ばれていました。
流れてきた木材は、御坊の工場で細かく削られ、紙の原料となる木材チップとなります。
チップを運搬する貨物列車は紀州鉄道から紀勢本線へと乗り入れ、遠く愛知県春日井市にある大手製紙会社の王子製紙春日井工場へと運ばれていました。
その後、トラック輸送などに切り替わり、貨物列車の需要が減少。
「西御坊駅」から「日高川駅」の区間が廃止となりました。
廃止となった今でも「西御坊駅」から「日高川駅」までの間には線路の他にも関連施設が残っています。
線路立ち入り禁止の看板がなければ、現役路線と見間違えてしまいそうな踏切。
日高川駅まで現役のようなレールがところどころ続いています。
やや形を崩しながらも日高川駅跡にはホームが残っています。終着駅の面影が残る貴重な廃駅跡です。
残された紀州鉄道の区間は、地元の足としてなくてはならない貴重な存在です。いつまでも現役で頑張ってもらいたいです。