四日市〜津新地間を開業させた伊勢電気鉄道は、着々と路線を延ばし1929年(昭和4年)には四日市〜桑名間開業、1930年(昭和5年)4月に津新地〜新松阪間開業、12月に伊勢神宮外宮近くの大神宮前駅まで延伸しました。
伊勢電気鉄道の鉄道遺構をめぐる(善光寺カーブ〜高田本山〜松阪)
伊勢へのアクセスは参宮線、参宮急行電鉄(現在の近鉄大阪線・山田線)、伊勢電気鉄道の三つ巴となります。
参宮急行電鉄と参宮線が共用する山田駅(現、伊勢市駅)は立派なターミナル駅。
伊勢電気鉄道の大神宮前駅は、比べると少し規模は小さかったようですが
伊勢神宮の玄関口にふさわしい品格のある駅舎だったようです。
1936年(昭和11年)経営悪化により伊勢電気鉄道はライバルだった参宮急行電鉄と合併、1941年(昭和16年)に関西急行鉄道となります。
しかし参詣に3路線はやはり多すぎたのか、第二次世界大戦が始まると不要不急線に指定され、1942年(昭和17年)に新松阪駅〜大神宮前駅間が廃止となります。
さて、廃線跡は残っているのでしょうか?
「豊受宮(とようけのみや)(伊勢神宮の外宮)の禊川」である宮川。
この川を渡ると神域入るため、古来よりお伊勢参りの重要な拠点となっています。
鉄道が開通するまでは、渡し船で渡っていたそうですが、3本の鉄道の開通とともに3本の橋を架橋。
現在は、参宮線と近鉄の2本の鉄道橋が残り、廃止となった伊勢電気鉄道の橋は撤去され、痕跡は見ることができません。
宮川を渡った堤防に伊勢電気鉄道の宮川堤駅が設けられていました。
宮川堤駅跡を東へ進むと、市道に転用された廃線跡が続きます。
秋葉山トンネル・天神丘トンネルの2本のトンネルは伊勢電気鉄道開業当時より使用されているトンネルです。
伊勢神宮外宮の側まで来ると、大神宮前駅の駅名標をかたどったモニュメントがあります。
実際の大神宮前駅跡はもう少し先。
外宮の目と鼻の先にあるため、大変便利の良い駅だったことが伺えます。
大神宮前駅跡は廃止となりましたが、お伊勢参りは近鉄・JR・高速道路など多様なアクセス網に受け継がれています。