大阪南部の貨物輸送を補うために1963年(昭和38年)に貨物駅の「百済駅(くだらえき)」が開業しました。「百済駅」の名称はこの場所が古来、渡来人たちの集住地であり、百済野と呼ばれていたことに由来します。
「百済駅」駅開業とともに駅北側に大阪市中央卸売市場東部市場が開場、場内には「百済市場駅」が新設され、「百済駅」と「百済市場駅」を結ぶ貨物線も敷設されました。
しかし、モータリゼーションの進化、トラックの普及などにより1984年(昭和59年)、貨物線廃止とともに「百済市場駅」も廃止となりました。
廃線跡は「百済駅」跡より北へ、弧を描きながら「百済市場駅」へと向かっていました。
いかにも廃線跡という雰囲気が現在も漂っています。
廃線跡の先には東部市場があります。もちろん市場内にもレールは残っていません。
2006年度(平成18年度)より「梅田貨物駅」の再開発計画に伴い「百済駅」の改修工事が行われました。「梅田貨物駅」の機能を「吹田貨物ターミナル駅」と「百済駅」に分散するためです。約6年かけて「百済駅」の対応量の増加と駅面積の拡大工事が行われ、2013年(平成25年)改修工事完了とともに駅名称は「百済駅」から「百済貨物ターミナル駅」へと変更されました。
歩行者の安全のため、トラックの出入りする道路側の駅入口に立体横断施設を整備。立体横断施設上からは「百済貨物ターミナル駅」が一望できます。
まるで鉄道模型で作られたジオラマの世界のようです。
「百済貨物ターミナル駅」の近くには、関西本線(大和路戦)の旅客駅「東部市場前駅」があります。1989年(平成元年)11月11日に開業しました。それまでは1909年(明治42年)から1963年(昭和38年)までの間、現在の「東部市場前駅」の少し西側に初代の「百済駅」が存在していました。貨物駅開業とともに廃止されましたが住民の要望により「東部市場前駅」として復活しました。
「百済貨物ターミナル駅」の見学には「東部市場前駅」東口が便利ですが、上下ホーム各一基ずつしかありませんので、帰りの電車の乗車時間には余裕を持って行かれることをお勧めします。