南海天王寺支線
「天王寺駅」と大阪市西成区にある南海本線の「天下茶屋駅」間、わずか約2.4kmを結んでいた南海天王寺支線。
大阪市営地下鉄堺筋線の「天下茶屋駅」延伸により「天下茶屋駅」から「今池町駅」間が1984年(昭和59年)に廃止され、残った「今池町駅」から「天王寺駅」間も1993年(平成5年)に廃止されました。
「天王寺駅」という大ターミナル駅と接続したにもかかわらず廃止となった理由は、南海電車の利用者にとって「天王寺駅」よりも「新今宮駅」で乗り換えるほうが便利だったからのようです。
ディープな大阪の下町を走り抜ける、ユニークな路線でした。廃線は大変残念です。
その名残を惜しむべく散策してまいりました。
「天王寺駅」。大阪環状線や大和路線用の17・18番線ホームの南側、現在、天王寺ミオが建っているところに南海天王寺支線の19・20番線がありました。
なぜ南海そばが天王寺駅にあるの?その下に隠された秘密とは!?
JR大阪環状線に沿って南海天王寺支線跡は西へ進むとやがて南西方向へと進路を変えます。
廃線跡はきれいな公園となっています。
飛田本通駅跡
動物園前商店街の1番街と2番街の間を走っていたようです。
このあたりに「飛田本通駅」跡があります。
開業当初、この駅は存在していませんでした。「天下茶屋駅」から「今池町駅」間が廃止になったことで乗客減少を防ぐため、商店街に便利なこの場所に駅を設置することになりました。しかし、隣の「今池町駅」と近く、また地下鉄の「動物園前駅」にも近いので、乗降客は少なかったそうです。
動物園前商店街を横切る南海天王寺支線跡。現在はフェンスで区切られています。この場所には踏切がありました。
堺筋をはさんで向かい側に大阪では知らない人はいないという超激安店「スーパー玉出」があります。その横に廃線跡は続いています。
その向こうに阪堺線が見えます。
今池町駅
阪堺線の高架下をくぐるとそこは今池町駅跡。阪堺線との乗換駅でした。
ここからは、もう一つの廃線、南海平野線が分岐していました。南海平野線は「今池停留所」から平野区の「平野停留所」を結んでいましたが、こちらも大阪市営地下鉄谷町線「天王寺駅」-「八尾南駅」間延伸により1980年(昭和55年)に廃止されました。
そして、その先には萩之茶屋南公園、通称三角公園。
フェンスの向こうが廃線跡です。
高架が見えてくるともうすぐ「天下茶屋駅」。南海本線と合流します。
廃線沿線には地元の住民の他、下町の雰囲気を味わうことを目的とした観光客もチラホラいらっしゃいます。
この路線の現役当時は、本線から天王寺駅への直通列車も走っていたそうです。今でも現役ならば、JRに対抗して、天王寺駅から関西国際空港への特急が走っていたのでしょうか。
付近にある商店街も昭和ムード。どこか懐かしさを感じるレトロな散策でした。このあたり、これからもっと外国人観光客が増えそうな予感がします。
初めまして。
南海天王寺支線跡に興味を持ち、こちらのブログに辿り着きました。
素晴らしい内容の記事、拝見させていただきました。
ただ、阪堺線「今池駅」として写真に紹介されているのは、隣の「今船駅」です。
似た名前なので、勘違いされたのではと思います。
以上、気になったのでコメントさせて頂きました。
励みになるコメントをいただきまして、大変恐縮でございます!ご指摘通り、「今池駅」と「今船駅」、確かに勘違いしておりました。ありがとうございます!今後ともよろしくお願いいたします。